司法書士と行政書士
余る弁護士の将来性
現在、日本では文部科学省の政策により大量の弁護士が誕生し、その多くが仕事に就けずに余っているとされている。
その過剰な弁護士と司法書士、行政書士との間で仕事の奪い合いになり、権限の少ない司法書士や行政書士が不利になるという見方がある。
弁護士が過剰になった経緯
2003年3月、政府は司法試験の合格者数を年間3000人に増やし、弁護士や裁判官、検察官などの法曹人口を5万人ほどにする方針を決定。
(2001年度の法曹人口は約2万2000人)
これにより法曹人口は以後10年間で約1万3000人増え、数多くの弁護士が誕生した。
ただ、弁護士が関与する事件は増えているが、一人当たりの事件数は減少。
実際のところ弁護士の需要はそれほど増えておらず、就職先もないため、司法修習を終えても法律事務所に就職できないケースも増えている。
2012年4月、総務省が上記の政府方針を下方修正するよう法務省などに勧告。
司法試験の合格率や入試の競争倍率が低迷する法科大学院に対しても、定員の削減や統廃合を求めている。
司法書士とは?
司法書士とは、一言で言えば「町の法律家」。
最も国民に身近な法律家として知られており、依頼主から委託されて裁判所、検察庁、または法務局へ提出する書類を作成し、簡易裁判所における訴訟代理、登記に関する代理手続きを行い、国民の権利を保護することが主な仕事。
さらには生活弱者に対する支援など地域に密着した仕事も多い。
労働に関する電話相談
11月23日の勤労感謝の日、全国の司法書士会は労働に関する無料の電話相談を行っている。
司法書士会館で面談も行っている地域もある。
名称:全国一斉労働トラブル110番
相談内容
セクハラ、パワハラ
違法残業(サービス残業)
過重労働
雇い止めなど
司法書士はどこにいる
司法書士の就職先としては、司法書士、行政書士、社会保険労務士などの事務所や不動産会社など。
司法書士の平均年収は約800万円。
弁護士のような一千万プレーヤーはほとんどいないとされる。
司法書士試験の難易度
司法書士試験は非常に難関で、合格率は例年3%前後。
なお、裁判所事務官経験10年以上などの一定条件をクリアすれば、無試験で司法書士資格を手に入れることができる。
司法書士試験の受験資格
なし。誰でも受験できる。
司法書士試験の試験内容
筆記試験
午前の部
憲法、民法、商法、刑法
午後の部
不動産登記法、
商業(法人)登記法
民事訴訟法、
民事執行法、
民事保全法、供託法
口述試験
筆記試験の試験科目に関する内容
司法書士業務を行うのに必要な知識と能力
司法書士試験の願書受付期間
5月の上旬から中旬
司法書士試験の受験料
8000円。数年前は6600円だったので、少し値上がりした。
司法書士試験の試験日程
筆記試験:7月上旬
口述試験:10月中旬
司法書士試験の受験場所
各法務局管轄の受験場所
司法書士試験の合格発表日
筆記試験:9月下旬頃
最終発表:11月上旬頃
行政書士とは?
行政書士も司法書士と同じく町の法律家である。
法律に基づいて依頼者の権利や事実証明に関する書類作成を主な業務とし、それらの書類を行政へ提出することもある。
・自動車登録
・相続手続き
・行政に提出する許認可申請書類の作成、提出
・契約書、遺言書等の書類の作成
など
行政書士の将来性
行政書士は参入者が非常に多いため、独立開業したいのであれば、相当な努力が必要。
資格予備校の広告では独立開業が可能な資格とされているが、実際に独立できることはほとんどない。
行政書士さえ取得すれば独立開業できて高収入という宣伝文句は夢物語だと考えていたほうが無難。
社会保険労務士や司法書士、土地家屋調査士など他の資格と兼業で開業する人が半数以上おり、企業の労務、法務担当として行政書士の資格を活用している人もいる。
行政書士試験の受験資格
なし。誰でも受験できる。
行政書士試験の試験内容
業務に関する法令
憲法、行政法、民法、商法、基礎法学
業務に関する一般知識
政治・経済・社会、
情報通信・個人情報保護、
文章理解
行政書士試験の出願期間
8月上旬から9月上旬
行政書士試験の受験料
7000円
行政書士試験の試験日程
11月第2日曜日
行政書士試験の受験場所
全国の都道府県
行政書士試験の合格発表
翌年1月下旬
行政書士試験の合格率:およそ10%
大学生でも半年から1年程の勉強で資格取得可能といわれている。
また、弁護士、弁理士、税理士、公認会計士の資格を持っていれば無試験で行政書士の資格が取得できる。